これはオメガの、「スピードマスター プロフェッショナルは、1969年に初めて月面に降り立った時の姿のままでなければならない」との方針によるものであり、スピードマスターへの新しいアイディアは、1969年登場のマーク2やフライトマスターにはじまる派生機のみに投入され、プロフェッショナルは原型を保って来たのです。
宇宙開発に採用されて世界中の熱い視線を集めたスピードマスター プロフェッショナルが、1970年前後を中心として売れに売れたことは容易に想像がつきますが、その当時からスイス屈指のビッグメゾンであったオメガは、伸びる一方の需要に対して、大量にスピードマスターを増産したに違いありません。
オメガ:スピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチ 夜光
初期のモデルや特別な限定モデルを除けば、その流通量の豊かさから、長年スピードマスター プロフェッショナルはプレミア価格とは無縁でいられたのですが、近年のイタリアを中心としたスピードマスターブームなどで事情が大きな変化を見せ始めており、現在ではキャリバー861搭載機までもが入手困難なアイテムに仲間入りをはじめています。
ウォッチメイキング技術が進化すれば進化する程に、その変わらぬ姿が際立ってくるように感じられるスピードマスター プロフェッショナルですが、この時計には、サファイアクリスタルも、リキッドメタルやセラミックのベゼルも、シリコンエスケープメントも要らないのです。