写真家・操上和美さんのオフィスに置いてあるクロムハーツのポートフォリオブックは、誰もがきっと一度見たら絶対忘れられない。ファスナーを開けると、なかに収められているのは、イサム ノグチ、勝新太郎、寺山修司、亀倉雄策、鶴田浩二、忌野清志郎、緒方 拳、赤塚不二夫、尾崎 豊、モーリス・ベジャール、ウィリアム・バロウズ、シュウ ウエムラ、彫刻家の若林 奮(いさむ)、そして操上さんの父親……。ページを繰りながら操上さんは言う。「ここには美しいひとたちが眠っているんですよ」と。
文=オウプナーズ写真=相良博昭(キャメル)
「墓碑」に入っているひとたち
クロムハーツと最初に出合ったのは、80年代の後半にLAのセレクトショップ『MAX FIELD(マックスフィールド)』で、思わず惹きつけられて買ったこの革のケース。僕は写真を入れるポートフォリオブックとして使っています。
この大きなケースに惹かれたのは、「墓碑」のような感じを受けたんだね。
写真というのは時間が止まり、そのまま時間が蓄積されていくものですが、このクロムハーツのケースには、人間の魂があるように感じて、“これに写真を入れたらすごいな”と。
ポートフォリオブックはふつう自分の写真を売り込むために持ち歩くものですが、これはここに置いてある。
ブックのなかにいるのは、僕の好きだったひと、影響を受けたひと、忘れたくないひとたち。ここに“入ってもらっている”んですよ。だから、実際のモノよりも重量感があります。