1967年、ロンドン。
サイケデリックブームの吹き荒れる中、突如として生まれたカルティエによる大傑作、クラッシュ。
交通事故に巻き込まれて大破した時計にインスピレーションを得たという、全く規則性が感じられない複雑なケース形状とこれに沿って変形した文字盤は、サルバトール・ダリが幾度となく描き続けた「溶けた時計」をも連想させるものであり、カルティエによる美の象徴の一つとして、ことあるごとに限定での再生産が繰り返されてきました。
そしてこのサイトでも以前取り上げたとおり、2015年、近年のカルティエがテーマとしてきたスケルトンムーブメントが、クラッシュにも与えられました。
カルティエ:クラッシュ スケルトン【2015新作腕時計】
クラッシュとして初めて、約10%のサイズアップが行われ、これに伴い手首に沿わせるための湾曲をやや強くしたというプラチナ製ケースは、これまでレディースのみの展開であったこのコレクションで初めて、男性の腕にもフィットするもの。
また現代的なウォッチメイキング技術の恩恵により、ケースの細部にまで渡る作り込みがこれまで以上に繊細で、豊かな表情をたたえている点も見逃せません。
またこのケース形状に合わせてレイアウトを最適化、輪列(りんれつ)まで湾曲させたという、3日巻きの手巻きムーブメントまでもがエキセントリックな魅力に満ちたものでした。
わずか67本のみの少量生産で発売されたクラッシュ・スケルトンは、世界中の熱狂的なファンの全てに行き渡るはずもなく、約5万ユーロという高価なものにもかかわらず、瞬間的に完売となったと言います。
そして来る2016年のSIHHに先行して、そんなクラッシュ・スケルトンが今回はピンクゴールドで製作されることが明らかとなりました。
より柔らかで華やかな輝きを放つであろう、今回のクラッシュ・スケルトンもわずか67本の限定生産であり、予価は5万5000ユーロと発表されています。