2015年に新しいコレクションとして船出した「クレ ドゥ カルティエ」は、“鍵”(フランス語でクレ)を想起させる独特のリューズと、クラシック感にあふれるオーバルケースで、大きな話題を呼んでいる。ベーシックな3針モデルのほかトゥールビヨンやミステリーアワーズもラインナップする充実したコレクションに、今回、スケルトン仕様の新作が加わる。
時計の文字盤は、12、3、6、9時のインデックスを大型のローマ数字で仕立てたように見える。だが、それは文字盤ではない。搭載するキャリバー9621MCの地板をエッチングし、文字盤風にあつらえているのだ。しかも、ケース裏側の受け板も徹底的にスケルトン化したうえ、22K製のローターに大胆なデザインを施し、シースルーバックからムーブメントを見ても、これが自動巻きだとは、一見しただけでは気がつかないほどだ。
ローターは緻密な計算の下で、形状と厚さ、重量を決定されており、巻き上げ効率も十分に確保されている。優れたメカニズムと芸術的なデザインを両立させた自動巻きムーブメントであり、鑑賞という言葉に値する出来栄えだ。2年目を迎える、このコレクションの人気を不動のものに確定させる逸品である。