バーゼルワールドは、毎年3月、4月頃に約1週間かけてスイス・バーゼルで行われる時計と宝飾の見本市である。今年も3月27日から4月3日までの8日間、世界中のバイヤー、プレス、そして時計ファンが、会場となるメッセ・バーゼルに集結。例年通り、大変な賑わいをみせた。
今年はどこのブランドも、例年に増して好調ということだった。新作も、以前あったように、どこも同じ方向を向いているということはなく、よりブランドの個性が強まっていると感じられた。ユーザーからみれば、選択の幅も広がり、とてもよい傾向にあるといえよう。
とはいえ、各ブランドが個性的になっても、ある種の傾向は必ずある。
気になったところでは、シンプルな3針時計とその小型化、オリジナルモデルの復刻、オールブラックモデル、ダイバーズ、そしてNATO軍用ストラップなどがある。全体的に派手さはない(結構地味になっているかもしれない)。ユーザーは、堅実で、より普遍性のあるものを求めている、と判断し、商品に反映させているのであろう。
まずは先ほども述べたシンプル時計の小型化である。ここ数年の大型化もあって、とても新鮮なモデルといえる。次に、ダイバーズ。もともと実用性が高く、人気だったが、ここへきてデザインがさらに洗練され、ドレッシーな装いにあわせてもいい、と思える新作が出てきている。そして、とくに今年というわけではないが、年々増えているのがワールドタイム系の腕時計。今年もかなりの新作が登場した。グローバル化が進んだ現代を象徴するモデルである。
で、気になる商品だが、その質はどのブランドもかなり向上している。多くのブランドが複雑機構を搭載したモデルを有するようになったし、自社製ムーブメントを開発し、主力モデルに搭載するブランドも増えている。新素材の開発や採用も活発になっている。
そして、なによりも近年飛躍的な進化をみせているのが外装である。技術の向上と丁寧な仕事が、一昔前に比べ、格段に外装のレベルをあげている。美しく磨き上げられた腕時計は見事な輝きを放っている。