機械王国ドイツらしくメカニズムの機能と美しさを徹底的に追求した独自の高級時計作りで、1994年のブランド復興以来、一気に時計愛好家なら絶対に目が離せない特別な存在となったA.ランゲ&ゾーネ。2014年もトレンドとは無縁の、孤高の機械式時計作りは変わらない。
新作で時計好きならまず注目せずにはいられないのが、日付を2ケタの大きなデジタル数字で表示するアウトサイズデイト機構の文字盤をオフセンターデザインの文字盤右上にセットしたブランドの看板コレクション「ランゲ1」に登場したムーンフェイズ機構付きモデル「グランド・ランゲ1・ムーンフェイズ」。
だがハイライトはやはり、一見シンプルな外観ながらパーペチュアルカレンダー機構と新しい天文コンプリケーション機構を搭載したこの「リヒャルト・ランゲ・パーペチュアルカレンダー“テラ・ルーナ”」だ。このモデルは、パーペチュアルカレンダー機構に加えて、ケース裏側にセットされた新開発の「軌道ムーンフェイズ表示」が自慢。
美しい3枚のディスクで構成されるこの機構では、ディスクの外周部にあるテンプ部分が太陽に見立てられており、ディスクの中央にある24時間で1回転する地球の周りを月が、本当の月の満ち欠けの周期・29日12時間44分3秒に限りなく近く正確な周期で満ち欠けを繰り返しながら反時計回りに周回する。つまり、月の月齢だけを表示する従来のムーンフェイズと違い、この機構は太陽に対する月と地球の位置関係を表示してくれるのだ。
また、ドレスデン、ザクセン王朝の栄華と科学水準を今に伝えるツゥインガー宮殿の数学・物理サロンに収蔵されている傑作のひとつ、1807年製のレギュレーター懐中時計から着想を得たというクラシックでしかも時刻が読み取りやすい文字盤デザイン、14日間という超ロングリザーブモデルである点も、このモデルの見逃せない魅力である。